AlphaStation 600 5/333

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外観

AS600

ASt600 はとにかくでかい。 以下の写真は Alpha XL366 との比較 (上面)。上が XL で下が AS600。 XL は普通のミドルタワーパソコンよりもでかいのだが、 それでもこの差。重量も 30kg はある。 AS600 and XL366

そして digital ロゴ
DEC logo

スペック

AlphaStation 600 には無印 600 と 600A があるが、 これは前期型 (無印 600) だった。 ちなみに AlphaStation 600 5/333 の「5/333」は EV5 (21164) の 333MHz の意味らしい。

CPU Alpha 21164-5 333MHz (66.6 × 4) rev.0
三次キャッシュ 4MB
メモリ registered ECC FastPage 512MB (32MB × 16)
HDD Seagate ST15150N (SCSI-2 4GB) x 2
SCSI controler Qlogic だったと思う (SCSI-2 Wide)
テープドライブ DEC TLZ07
CD-ROM DEC RRD45
ネットワーク DEC 21040
FDD 3 mode
拡張スロット 32bit PCIx2, 64bit PCIx3, PCI/EISAx1, EISAx3

SCSI インターフェイスは Wide SCSI のはずだが なぜか Narrow のディスクが付いている。なぜだ?

グラフィックインターフェイスは VGA 互換 (罠あり。後述)、 キーボード・マウスは普通の PS2。他にシリアル 2 つとパラレル。 それとなぜか安っぽい EISA のサウンドカードが挿さってた。 いらねえ……。

なかみ

フロントパネル

front panel
ドライブベイに入っているのは上から CD-ROM ドライブ、DAT、FDD。 FDD 以外は全部 SCSI 接続。 中心にある液晶パネルは機体のステータスを表示するためのもの。

キャビネット

cabinet
キャビネットはまず大きく左右に区分されており、左側がマザーボード、 右側が電源とストレージを格納。その間にはでかいファンが取りつけら れていて CPU を冷やすようになっている。

マザーボード区画はさらに上下に分割されており、 上が CPU とメモリで下が拡張ボード。

64bit PCI バスに挿さっているデカいボードは Wide SCSI とグラフィック。 SCSI は、初期の AlphaStation600 は Fast で後期が Ultra である。 うちのは Fast だ。外部用コネクタは背面につながる。

メモリスロット

memory slots
メモリスロットは上下に 16 本ずつ、合計で 32 本ある。 増設するときは registered ECC の FastPage SIMM を 8 本同時に増設しないといけない。 8MB くらいのは秋葉原ならジャンク 100 円でいくらでも売っているが、 32MB とか 64MB の SIMM は鬼のように高い。 32MB 二本で 5000 円とか (2003-06-11 調べ)。

背面

rear panel
背面は、外部 SCSI のコネクタがある以外は普通のパソコンと似ている。 シリアルふたつとパラレルひとつ、PS2 のキーボードとマウス。 あとは拡張スロットである。あと右上にある銀色の丸いものは鍵穴で、 匡体のフタをロックできる。ちゃんと閉めないと電源が入らない。

FreeBSD/Alpha のインストール

いちおう NT も動くけど、やっぱ UNIX でしょ。 ASt600 には FreeBSD を入れてみることにした。

Alpha にはパソコンで言うところの BIOS みたいな「モニタプログラム」 というものが入っており、それには二種類ある。 ARC (Advanced RISC Computing) と SRM (System Reference Manual) だ。 ARC はメニュードリブンで基本的に NT 用。 SRM はコマンドラインコンソールで、各種 UNIX 用。 FreeBSD は SRM からしかブートできないので、 まずはなにを置いてもこの SRM に切り替えなければいけない。 ARC になってたらメニューから 「console なんたら」というのを選んで SRM に切り替えておく。

まずはハマった記録をいくつか。 デフォルトのグラフィックカードだとなぜか ARC の画面が映らない。 どうも 64bit PCI であることがなにか関係しているらしい。普通の パソコン用のグラフックカードを挿すとうつる。もちろん AGP バス なんかついてないので PCI でないとだめ。

さらに、AlphaStation 600 は匡体のフタを開けたままだと起動しなかったりする。 きっちりと閉めよう。最初は壊したかと思ったよ……。

またどうしてもモニタが映らない場合、シリアルケーブルを使って通信する こともできる。クロスケーブルで他のマシンとつなぎ、Alpha のキーボードを 抜いて起動すると勝手にシリアルに端末があるものとみなしてくれる。 9600baud 8bit パリティなしにセットすること。別に緊急時でなくとも モニタをつながなくてもいいので便利。

んで、ようやく SRM が出せたので、FreeBSD のインストールに移る。 インストールしたバージョンは RELEASE の 4.4。もう 4.5 が出て いるのだが事情により 4.4 が必要なのだ。 まずはブートイメージをダウンロードしてきてそれをフロッピーに 焼き、FDD からブートする。FDD からブートするための SRM コマンドは 以下のとおり boot dva0 だ。しかし……

>>>boot dva0
(boot dva0.0.0.0.1 -flags A)
failed to open dva0.0.0.0.1

というエラーになった。google で "failed to open" AlphaStation を 検索したら一件だけヒット (つーわけでこのページが二件目になると思う)。 Alpha 関係の ML のログで、どうもその人と全く同じ状況のようだ。その メールへの返信には「とりあえず FDD のメディアとドライブをチェックしたら?」 と書いてあったので (意訳)、ドライブを換えてみた。FDD は普通の パソコン用のでよい。するとメッセージが変わった。

>>>boot dva0
(boot dva0.0.0.0.1 -flags A)
block 0 of dva0.0.0.0.1 is a valid boot block
reading 15 blocks from dva0.0.0.0.1
failed to read dva0.0.0.0.1
bootstrap failure

なんと、google で発見したメールの人もドライブを換えたあとで 全く同じエラーに遭遇している。偶然もあるもんだ。しかしその メールには続きがない。まあ、read エラーなら今度はメディアのほう かな、と思って別のフロッピーでイメージを作りなおしてみた。

>>>boot dva0
(boot dva0.0.0.0.1 -flags A)
block 0 of dva0.0.0.0.1 is a valid boot block
reading 15 blocks from dva0.0.0.0.1
bootstrap code read in
base = 142000, image_start = 0, image_bytes = 1e00
initializing HWRPB at 2000
initializing page table at 134000
initializing machine state
setting affinity to the primary CPU
jumping to bootstrap code
loading /boot/loader
Console: SRM firmware cosole
VMS PAL rev: 0x1000000010114
OSF PAL rev: 0x1000000020116
Switch to OSF PAL code succeeded.

FreeBSD/Alpha SRM disk boot, Revision 1.0
(jkh@jkh234.osd.bsdi.com, Wed Sep 19 18:48:30 GMT 2001)
Memory: 524288 k
/kernel data=0x31afd8+0x261b8 -

Please insert MFS root floppy and press enter:

完璧。ここまでくればあとはパソコンとなんら変わりはない。パッケージ をてきとーに選んでぶちこむだけだ。パッケージソースは CD とか FTP とか NFS とか、いろいろな選択肢がある、ように書いてあるのだが、ちょっ と検索してみた感じ、持っているマシンで全てうまく動くとは限らないよ うだ。特にネットワーク経由でなにかやる場合はイーサカードが DEC 純 正のやつじゃないと SRM が検出してくれず無間地獄に落ちることが多い らしい。まあ、AlphaStation は隅から隅までDEC 純正モノでかためてあ るのでこのへんは心配ないだろう。

インストールのスピードを考えると CD が欲しかったのだが、ぷらっとホー ムで Alpha 用バイナリの入った FreeBSD を発見できなかったのでやむを えず FTP で直接取ることにする。基本システムだけならたいしてデカく はあるまい。ちょうど「B. Minimal」という選択肢があったので、これを 使ってみることにした。20MB くらいかな? ADSL ならなんてことない。

絶対どこかでひっかかるだろうと思ったのだが、インストーラにまかせる だけで何事もなく進む。Alpha はインストーラが起動するまでが ちょっとやっかいだが、そのあとはたいしたことないということなのかな。

パッケージのインストールが終わった。 「あとからインストーラを起動したいときは /stand/sysinstall を実行してね」 か。なるほどなるほど。/stand は standard の stand ですね? このあとはもう UNIX 知ってればどーにでもなりますな。root で ログインしてパスワードを入れ、ユーザアカウントを作って……という お決まりの作業だ。

自動ブートの設定

ブートするたびに SRM から boot コマンドを打つのはバカらしいので、 電源投入後に OS が自動ブートするように設定する。 これにはSRM の環境変数を設定しておけばよい。

>>>set auto_action boot
>>>set bootdef_dev dka0

auto_action が「電源投入後の動作」の意味。 halt をセットすれば SRM プロンプトが出て止まる。 bootdef_dev は「boot (するときの) default device」という意味。 dva0 がフロッピーで dka0 が ID 0 の SCSI デバイス (普通は HDD)。 なお、環境変数の値は「show」とだけ打てば一覧できる。 出力が多すぎるときは Unix のように | more すればいい (一応言っとくと less はない)。

FreeBSD/Alpha のインストール、第二幕

2002 年の夏にハードディスクがクラッシュしたので OS も入れなおすことにした。 簡単かと思ったらえらい苦労してしまった。

まず最初は前に入ってた FreeBSD 4.4/Alpha を入れようとするも、 なぜかインストールの FTP が動かない。 これは単にネームサーバの IP アドレスを間違ったためと判明。

直した。今度はなぜかインストーラがダウンロードの途中で止まる。 これも単に 4.4RELEASE のバイナリが FTP サーバからなくなってたからだった。 まあ、しかたない。

ちょっと眺めたところ、インストーラの「Expert」の Options に リリースバージョンを指定できるところがあったので、 ここに 4.7-RELEASE を指定してみる。 するとチャンクを 6 個読んだところで固まった。原因不明。追求不能。 やっぱり 4.4 のフロッピーで 4.7 をダウンロードしたりしたのがいけないのだろうか。

今度はいきなり 5.0 にチャレンジ。 フロッピーからブートしようとするが、カーネルに制御が移った時点で落ちた。 まあ 5.0 はまだ unstable なのでしかたがない (特に Alpha は)。

4.7 のフロッピーで再度チャレンジ。同じ症状でカーネルがブートせず玉砕。 これはヤバい。本気でヤバい。

しかたがないのでいきなり目先を変えて、今度は NetBSD を使ってみる。 CD-ROM にブートイメージを焼いてチャレンジ。またもカーネルブートせず玉砕。

これはアレですか? わたしには Alpha は無理だというお告げでしょうか。 最後のあがきで 4.4 フロッピー + 4.7 イメージをもう一度だけやってみることにする。

通った。あれれれ? これはどういうこと? ようするにコンピュータで大事なのは根性ってことですか? 謎だ。